日向市総合体育館建設計画差止訴訟報告と住民監査請求

日向市総合体育館建設計画差止訴訟報告

令和5年9月28日十屋日向市長を訴えた差止訴訟について報告します。
時系列に並べると以下の通りです。

令和5年9月28日 提訴(訴状提出)
令和5年10月12日 宮崎地裁延岡支部質問書へ回答
令和5年10月20日 宮崎地裁延岡支部から宮崎地裁に移送
令和5年12月8日 宮崎地裁判決

正直、弁論(公判)なしでいきなり判決が送ってきたことにぶったまげました。
私はこれまでに二桁以上の訴訟経験がありますが、弁論(公判)がなかったのは初めてです。
初め、何が起こったのかわかりませんでしたが、ようやく先週時間を取って調べたら、次の理由でした。

訴えの内容 1 大王谷プール解体工事請負契約の破棄 2 日向市総合体育館設計施工契約締結の差止

宮崎地裁延岡支部が私に質問した内容は、訴えの法的根拠ですが、これは、民事訴訟でいう不法行為のことではなく、行政訴訟特有の根拠法の特定のことでした。宮崎地裁延岡支部は、大王谷プール解体工事請負契約について、地方自治法242条の2第1項に基づく訴えなのか、行政事件訴訟法3条6項に基づく訴えなのか、と質問したので、私は、行政事件訴訟法3条6項に基づく訴えと回答し、同様に、日向市総合体育館設計施工請負契約についても、地方自治法242条の2第1項に基づく訴えなのか、行政事件訴訟法3条7項に基づく訴えなのか、と質問したので、私は、行政事件訴訟法3条7項に基づく訴えだと回答しました。

この時点で、私は、裁判所が具体的に根拠法を特定して質問した訳なので、根拠法の問題は解決したと判断しました。

ところが、宮崎地裁判決の訴えの却下の理由を読んでびっくりしました。そこには次のように書かれていました。

宮崎地裁判決内容:大王谷プール解体工事請負契約の破棄及び日向市総合体育館設計施工契約締結は、私法上の契約主体としての地位に基づいて権利を行使し得るにとどまるのであって、公権力の行使として行われるものとは言えないから、「処分」には該当しない。したがって、訴え1及び訴え2は、不適法な訴えであり、これらを却下する。

これが何を意味するかというと、同じ宮崎地裁の裁判官でありながら、延岡は、該当する法的根拠を選ばせ、宮崎は、選択した法的根拠は不適法である、と判断した訳です。
つまり、宮崎の裁判官は、延岡の裁判官の判断が間違っているということを示しました。

正直、「いい加減にしろ!」と言いたいところです。調べてみると、どうやら宮崎の裁判官の判断が正しく、延岡の裁判官の判断は、「処分」の認識が間違っていたことになります。
裁判費用を負担した上、2か月半待たされて、この結論に行き着きました。

住民監査請求

さて、こういう場合どうしたらよいかというと、控訴して争っても判断はまず覆ることはありません。そうすると、肝心の日向市の違法行為論争ができないので、裁判を継続することは意味がありません。

私は、調べ直し、本件訴えは、住民監査請求を経て、地方自治法242条の2第1項2号(取消し又は無効確認の請求)及び4号(損害賠償請求)によって、訴えるべきと理解しました。
なぜなら、住民監査請求をすれば、違法行為論争ができるからです。

今回、宮崎地裁は、本件提訴について、相当苦慮したようです。その理由はふたつあります。

ひとつは、仮に、却下せずに違法行為論争に入れば、論争は私が圧倒的に優位です。つまり、日向市の違法行為が明らかになります。すると、市長選挙に対して、私にはプラス、十屋市長にマイナスに働きます。恐らく、裁判所としては、選挙に裁判が影響を与えることを避けたかったのでしょう。

もうひとつは、弁論を1回もせずに訴えを却下するには、同じ裁判所内の裁判官の判断を誤りだと指摘しなければなりません。なので、どうしたらよいか、かなり苦慮した上で、却下したと思います。

いずれにしろ、私は、控訴ではなく、住民監査請求を経て改めて訴えることを選択しました。これなら、裁判開始は遅くなりますが、確実に違法行為論争ができます。

そこで、早速、令和5年12月25日、日向市監査委員へ住民監査請求書及び事実証明書を提出しました。

回り道をさせられましたが、ようやく十屋市長を訴える入口に着きました。

違法行為論争

それで違法行為論争ですが、実はこれも結構難易度が高いです。

恐らく、延岡支部が自分ではできなくて宮崎地裁に移送した理由も、難易度の高さが影響しています。宮崎地裁も、かなり戸惑ったと思います。なぜなら、まず、判例がほとんどないからです。
私が違法行為だと指摘した法律は、ふたつあり、ひとつが公共サービス基本法、もうひとつが憲法13条幸福追求権及び25条生存権に基づく環境権です。

私が違法行為だと指摘した公共サービス基本法の条文は次の三つです。

公共サービス基本法第2条「この法律において「公共サービス」とは、次に掲げる行為であって、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を満たすものをいう。」2号「国又は地方公共団体が行う規制、監督、助成、広報、公共施設の整備その他の公共の利益の増進に資する行為」

公共サービス基本法第3条(基本理念)3号「公共サービスについて国民の自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること。」

及び同4号「公共サービスに関する必要な情報及び学習の機会が国民に提供されるとともに、国民の意見が公共サービスの実施等に反映されること。」

ところが、日向市は、日向市民に対して、日向市民が大王谷プールという公共施設を利用することによって得られる付加価値を奪うことになることを知りながら、十分な周知及び協議を経ずに、秘密裡に大王谷プール解体工事請負契約を締結しました。

この行為は、日向市民及び地区住民が公共施設利用による公共サービスを受ける権利、公共サービスを選択する機会を確保する権利及び公共サービスの実施について意見を反映する権利を明らかに侵害しており、公共サービス基本法違反です。

一方、「環境権」とは、「良き環境を享受し、かつこれを支配し得る権利」であり、「人間が健康な生活を維持し、快適な生活を求める権利」であると言われます。ここに言う「環境」とは、大気、水、日照、静穏、景観などの自然的環境のみならず、社会的諸施設や文化的遺産など、広く社会的、文化的環境を含むものであって、環境権は、すべての人々が、その共通の財産として、かかる環境を享受しうるという意味において、一定地域の住民の共有に属するものとされています。

この立場から、都市生活において、環境の利用・配分並びにその維持については、人々の了解事項として、一定の規約・規律が存在しており、特定の人間による勝手な変容や独占は許されません。

そうすると、大王谷プールという公共施設の利用については、現に毎年6000名近い利用者がいて、地区住民の了解事項として、夏休み期間中の地区住民とりわけ子供達にとって、生活に密着したなくてはならない公共施設として存在してきた事実の前で、日向市による勝手な解体工事は、まぎれもなく環境破壊であり、環境権の侵害であるから、許されません。

法律論争なので、専門的でわかりにくいと思いますが、それでも、私があえて説明した理由は、日向市が、市民の了解なく勝手に大王谷プールを解体した行為は、法に照らせば、明らかに違法ということをわかってもらうためです。

市民の皆さん、この重要性を是非ご理解ください。

権力は腐敗する

歴史上の事実が証明しているように「権力は腐敗します」権力が腐敗すると何をするかというと、権力を使って国民の権利を侵害します。なぜそんなことをするのかというと、利権グループの金もうけのためです。

日向市は、市民の了解なく5600万円かけて勝手に大王谷プールを解体しました。そしてその後に37億円の体育館を造ろうとしています。目的は、利権グループの金もうけのためです。
おまけに、十屋市長は、建設工事をコーソクに発注して、その見返りに自分の3期目の市長選挙に協力させる裏取引をした疑いがあります。

今後の見通し

「監査報告書」は請求より60日以内となります。ということは、2月24日までに「監査報告書」が出ますので、提訴は、その後、2月末になる予定です。
したがって、提訴時点では十屋市長は現職ですので、”市長”を訴えるという目的は達成できることになります。
裁判は、提訴から1~2か月後に始まりますので、その時の立場は、どちらが市長でどちらが市民かはわかりません。
しかし、訴えの内容は、「大王谷プール解体工事請負契約」と「日向市総合体育館設計施工契約」を問題としていますので、仮に立場が変わっていたとしても、契約行為を問題としたものであるので、通常通り裁判は行われると考えています。

目的は”行政の誤り”を問うこと

もともと私が半年かけて日向市総合体育館建設計画反対運動をし、その後、署名活動を経て提訴した目的は、市民無視の行政に対し、是非を問うことでした。
本来は、議会の役割なのですが、残念ながら議会が機能していないので、私は、一市民として市民を代表して立ち上がったのです。
私がやらなければ、行政と議会がつるんで、市民を無視して好き放題にやられ、結果的に市民が犠牲を強いられます。
42億円という犠牲はあまりにも大きく、大王谷プールも元に戻りません。
これでは、日向市はよくなりません。いや、日向市全体が、沈没しかねません。
正直、私自身が負う負担、責任は小さくありませんが、やはり、市全体の公共の福祉を考慮すれば、やるべきと考えて、踏み出したのです。
是非、市全体の公共の福祉の増進に繋げたいと思います。


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