”大王谷プール解体工事契約”は違法かそれとも適法か?

令和5年12月25日、私が住民監査請求した「大王谷プール解体工事契約」及び「日向市総合体育館設計施工契約」について、請求者である私と日向市当局の陳述の通知がきた。
日程と場所は以下の通り。

請求人陳述   1月23日(火)午前10時 日向市役所健康管理センター2階会議室
日向市当局陳述 1月24日(水)午後2時  日向市役所健康管理センター2階会議室

陳述は原則公開なので市民は傍聴ができる。但し、部屋の広さの制約があるので、傍聴希望の方は、必ず事前に監査委員事務局に確認してください。

陳述に先立って、私は、「意見書」を提出することにした。
本監査請求の争点は、”大王谷プール解体工事契約”が違法かそれとも適法か?である。

皆さんにご理解頂きたいのは、本監査請求は、日向市総合体育館建設の是非を争うのではなく、”大王谷プール解体工事契約”の是非を争うことが目的である。(ただし、大王谷プール解体工事契約が違法の場合は、体育館建設自体も必然的に違法となる。)

それでは、「監査請求書」を紹介した上で、以下に、「意見書」本文を紹介する。

1 日向市民が有する権利に対する認識がないこと
請求者が「日向市職員措置請求書」において主張した公共サービス基本法及び憲法に基づく日向市民が有する権利について、日向市長及び日向市は、過去何らの審議をした事実がない。
請求者は、本件日向市総合体育館建設計画を調査した際、資料の開示請求をし、令和5年5月1日「公文書開示決定通知書(資料⑥の1)」及び「資料目録(資料⑥の2)」の交付を受けた。そして、「資料目録(資料⑥の2)」に記載された1~6「会議録」「提言書」「資料一式」合計462枚を精査したが、前述日向市民が有する権利についての記述は皆無であった。
それどころか、大王谷プール解体工事についての記述自体、「会議録」127ページの中で3カ所しかなかった。その3カ所とは、令和元年11月29日30ページ、資産経営課長(和田康之)「プールの利用者の配慮ということですけども、今、森腰議員がおっしゃる通り、もちろん、プールの利用者にもきちんと配慮していかないといけないというところはもちろん考えております。その中で、まず今年、夏場に対応させて頂いたというのが、アンケートであったんですけども、ただあの時点では、まだプールのところにつくるというような状況でのところが、まだ決定まで行ってない、まだあくまでも市の中の決定の。市の中の決定ではない。すいません。市の中での検討の一つの選択肢であったということで、それの中で、アンケートをさせていただいたような状況でありまして、これについては、まだ今後の、このプールを予定地とするようなところで、方向性が出て、出た。出たわけですから、出てるわけですから、今後の基本アンケート等をやっていきながら、どのような格好でフォローできるのが一番最適かということは、今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。」
次に、令和4年1月31日14ページ、資産経営課長補佐(井上達也)「まず、学校プールの開放についての考え方なんですけれども、今の水泳場につきましては、あの幼児用のプールがありまして、小さいお子さんにも利用して頂いておりますけれども、そういった学校のプールでも水位の低いレーンがあるプールが小学校に市内4校、大王谷小学校、財光寺小学校、塩見小学校、寺迫小学校がありまして、その4校の中から今検討をしているところです。」
3カ所目が、令和4年5月13日3ページ、「新たな水泳場とは建設は行わず、一部の小学校の既存プールを夏休み期間中に開放するというふうな考えでおります。」
以上の通り、公共サービス基本法及び憲法に基づく日向市民が有する権利について、日向市長及び日向市は、過去何らの審議もした事実がなく、「会議録」における上記コメント内容からも、法に基づく日向市民が有する権利の認識自体がないことが明らかである。
また、同時に、市民に市政のチェック機能を負託された市議会議員においても、「会議録」を見る限り、法に基づく日向市民が有する権利の認識自体がないことが明らかである。

2 法に基づく日向市民が有する権利が守られる機会及び手続の不存在
一方、開示された「資料一式」の中の「1 総合体育館整備に関する経過(資料⑥の3)」を見ると、19名で編成される「市民検討委員会」が、3回(令和3年10月7日、11月24日、令和4年1月26日)開催されたことが確かめられるが、当委員会は、そもそも委員長及び副委員長が日向市民ではなく、法的な手続きを経て日向市民に検討を委託された訳でもなく、かつ法に基づく日向市民が有する権利を守る機関とは到底言えず、参考意見を聴取する以上の趣旨ではないことが明らかである。
したがって、総合体育館整備に関する経過において、全体を通して、法に基づく日向市民が有する権利が守られる機会及び手続が不存在だったことは明らかである。

3 地方自治法及び条例がカバーしない領域
検証した通り、日向市長及び日向市は、認識不足により、法に基づく日向市民が有する権利を侵害した。なぜそのような結果を招いたのか、その理由は、地方自治法及び条例がカバーしない領域である公共サービス基本法及び憲法についての知見がなかったからである。
言い換えれば、地方自治法及び条例の範囲内で問題がなかったとしても、それが行政サービスを提供する上で瑕疵がないことを示すことにはならず、法に基づく日向市民が有する権利についての知見がなかった結果、権利を侵害した認識すらなかったことが事実である。

4 公共施設の利用権は住民に属すること
公共施設、すなわち本件において大王谷プールは、財産権は地方公共団体である日向市に帰属するが、そのことをもって大王谷プールの利用権や処分権が日向市に帰属することにはならない。
つまり、公共施設の利用が制限されたり、処分によって利用自体ができなくなる場合は、利用者及び地域住民のQOL(Quality Of Life)が低下する事態を招くのであるから、地方公共団体が勝手に公共施設の利用を制限したり処分することは許されないことは自明である。
にもかかわらず、日向市長及び日向市は、大王谷プール利用者及び地域住民の同意、事前協議、説明、いずれもなく勝手に解体した。大王谷プールの解体工事が、地区住民の権利を侵害したことは明らかである。

結語

法治国家においては、日向市長及び日向市が、地区住民の権利を侵害し損害を与えた以上、その補償をしなければならないことは免れない。


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