日向市財政分析

今回は、いつになく行政(財政)の講義をしたい。正直、まったく面白くないので、そのつもりで知識を学びたい人だけ読んでください。

で、この分野は詳しく説明すると結局わからなくて、その上面白くないので、私が選んだ重要7項目に絞って、わかるように進めます。

1 会計の種類

地方自治体の会計には4種類あり、一般会計<普通会計<全体会計<連結会計です。

上記がその模式図ですが、簡単に言うと、公表されている資料は一般会計や普通会計のものが多いのですが、実は一般会計や普通会計では全体が見えないので適切ではありません。
見るなら、できるだけ全体を示す連結会計で見てください。ただ、一部の数字は、管理上、連結では見れずに一般会計や普通会計でしか見れません。
その場合は、この数字は一般会計もしくは普通会計の数字であるということを理解して見てください。

以降は、私が作成した「令和3年度(令和4年3月31日)日向市財政データ」を説明に使用します。
尚、「類似79」とあるのは、全国の日向市と同規模の団体が79あり、その中の順位が公表されています。つまり、真ん中で39~40位ということです。
また、独自に、順位から、100点満点中何点になるかを計算して「得点」を算出しました。

2~5については、普通会計

2 財政力指数=15点

財政力指数とは、基準財政収入額(地方税収入見込額の75%)が基準財政需要額(必要な年額)の何倍かを表した数字です。
つまり、日向市の場合、0.54ということは、必要額の54%しか自己財源がないことを意味します。

3 実質公債費比率、公債費比率=10,11点

地方債の元利償還金を標準財政規模で除した数字です。
管理上は実質公債費比率が使用されることが多いのですが、実態は公債費比率の数字です。
公債費比率19.2%ということは、経常費の20%近くが借金の返済+金利に充当されているので、余り健全ではなく、資金繰りにも余裕がありません。

4 人口1000人当たり職員数、人件費比率=22、29点

日向市の場合8.74は類似団体平均7.5より1.24上回っています。ということは、1.24×59953/1000=74.3人平均より職員が多いということになります。この数字が意味するのは、日向市役所の組織が肥大化しているということです。
もちろん、それだけ比例して他の自治体より優れた行政サービスが提供されているならいいのですが?

5 扶助費比率=1点

扶助費、すなわち、生活保護及び障害者・老人・児童福祉関連の支出割合は14.1%で79団体中78位です。
なので100点満点中1点になりました。

2~5項目=31.8点

得点の平均は100点満点中31.8でした。なので、端的に言って、財政状態は平均に比べて悪いと言わざるを得ません。

6~7については連結会計

6 流動性

手元資金の余裕額は11.9億円、月必要額が39.9億円ですので、30%しかありません。つまり、一家の家計に例えるなら、1月の生活費が20万円の家の場合、6万円しか現金と預金の余裕がないことになります。
やはり、企業だろうと家計だろうと自治体だろうと関係なく、財政状態の悪化は必ず資金繰りに現れます。

7 借金

地方債残高454.8億円は、標準財政規模の273%になります。つまり、一家の家計に例えるなら、年収の2.73倍の借金があることになります。

以上が、重要な財政データの解説になります。
ひとつ補足すると、地方公共団体には、所謂「損益計算書」がありません。それが企業会計と決定的に異なる点で、わかりにくい所でもあります。つまり、「損益」という概念がないので、いいか悪いか当事者も理解できずに、油断して費用が増大する傾向があるのです。

また、地方債の中に「臨時財政対策債」という将来の交付税収入を見込んで前借する形の借金があり、財政状態をさらにわかりにくくしています。
したがって、正確な把握をするには、バランスシート、収支状態、指標の比較という3方向から把握する必要があります。

興味のある方は、把握の仕方を教えますので、遠慮なくお問合せください。


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