「中坊公平私の事件簿」

ふと気付いたら、私は、尊敬する中坊公平氏の著作を紹介していなかった。
中坊公平氏の著作は何冊も読んでいるが、やはり、最初に出会ったこの本が忘れられない1冊である。
もし私が30歳になる前にこの本に出会っていたら、間違いなく弁護士を目指しただろう。
中でも、中坊氏自身が原点となったと振り返る「森永ヒ素ミルク事件」は、胸に迫る、そして人間中坊公平をこれほど物語る感動的一節はないだろう。
当時43歳だった中坊氏は、この事件を皮切りに、弱者の味方、正義の弁護士として世の注目を浴びる存在となり、生涯その期待に応え続ける弁護士生活を送るようになる。
これを天命と言わず、何と言おうか。
奇しくも同じ43歳の時、私は、初めて裁判を経験し、しばらくしてこの本に出会った。
裁判を経験しなかったら、この本に出会うことなく、中坊氏を深く知ることもなかったかも知れない。
3年後の2003年11月29日、宮崎市で中坊氏の講演を聴く機会があった。
講演の最後に中坊氏から教わった「一燈照隅、万燈照国」という言葉は、私の原点でもある。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク