一燈照隅

歳が歳になると、「次の世代にどんな社会を受け渡さなければいけないのか?」という命題が、重くのしかかります。
その時思い浮かんだ言葉が「一燈照隅、萬燈照国」です。
残りの人生、次の世代のために、せめて一燈の役割を果たしたい。
そう思って、当ブログを開設したのですが、具体的には、以下の3つを目的に掲げています。

1.「あってはならないこと」を伝える(警鐘を鳴らす)

日本社会は、バブル崩壊以降、確実に劣化退廃し続けています。
今から20年以上も前、小泉政権の誕生によって、私は、音を立てて「モラル崩壊」が始まったことを強く感じました。
たまたま、先日、私とまったく同じ観方に出会いビックリしましたが、参考までにご紹介しておきます。「日本を私物化して開き直る安倍夫妻の異常

最近話題になった「あってはならないこと」のひとつが、「日大アメフト悪質タックル事件」であることには、だれも異論がないでしょう。
この事件は、ご存知のように、インターネット動画によって瞬く間に伝わりました。
そして、これが単なるアメフトの勝敗の問題ではなく、学生スポーツ及び大学経営の根本的な問題に起因した社会問題であるとの認識を促しました。

すなわち、インターネットによるワンシーンの情報公開が、日本社会に対して強く警鐘を鳴らした、典型的な事件でした。
インターネットによる情報公開は、このように、今日本社会が抱えている問題の本質を、リアルタイムに伝える力によって社会貢献の有効なツールとなっており、当ブログの重要な目的でもあります。

2.被害者、潜在的被害者、弱者救済への道を開く

ひとりの体験、得た教訓、学んだ対処法などの情報を、不特定多数の人と共有することが、被害の拡大や発生を未然に防止することに繋がります。
先に情報を入手できれば、具体的な備えが可能になるからです。

また、事実を実名で公開することは、情報を受け取る人にとって、現実的で身近な問題として興味を増し、より正確で着実な理解、認識をもたらす効果があります。

単純に、消費生活において、透明性、客観性が高い情報を入手できなければ、消費者は、購入しようとする商品やサービスに対する正しい認識を持ち得ないので、間違った選択をする可能性が高くなり、消費者被害は拡大します。

商品やサービスの選択においては、その購入者や使用者が、ユーザーとしての体験や率直な評価を発信することで、消費者は批判的な観方を参考にすることができるので、売手側の一方的な情報に操作されるリスクが減少します。
仮に、そのユーザー発信情報が辛らつなものだったとしても、真実である限り、消費者にとっては、逆により価値が高い情報となります。
したがって、辛らつだから制限すべきであるというのは、本末転倒でしかありません。

また、情報入手上の障害は、真に価値が高い商品やサービスが選ばれるための障害にもなるので、公正な競争を阻害する結果となります。
つまり、消費者のみならず、真に価値が高い商品やサービスを提供する企業の機会損失を産むので、市場の健全な成長を邪魔し、産業振興面でもマイナスとなります。

購入者、消費者の立場に立つということは、すなわち、商品やサービスを提供する企業に対して厳しい目を向けることを意味し、それに応えられる企業かどうかが問われているのであり、当ブログの不動のスタンスです。

3.フェアかつ健全な社会の建設に資する

富や権力の偏在によって、情報もまた偏在しており、この点において、社会はフェアとは言えません。
また、これらの固定化は、社会全体から観た時、皆が公平にチャンスを掴み、持てる能力や情熱を発揮し、幸せな人生を目指せるような健全な社会の建設にとってブレーキであるので、情報入手のハードルを下げ、偏在を是正する必要があります。

とりわけ、人生の難題に面した時、本当に役に立つ情報やアドバイスを提供することは、フェアかつ健全な社会の建設に資すると考えており、その役割を果たすことを目指しています。

付記「名誉毀損の問題」について

当ブログで実名報道する時に、必ず「名誉毀損の問題」が関係してきます。
私は、一般市民及び消費者を守るためには、不道徳なもしくは不当な団体、権力を行使する立場にいる人物に対して、即改善を迫る必要があると考えていますので、他の第三者を犠牲にするなどの特別な事情がない場合は、実名報道としています。

そこで、その趣旨をご理解いただくために、例を用いて、以下に分かり易くご説明いたします。

Aさんと自動車メーカーB社の話

ある日、Aさんが自分の車を運転していたら、急にブレーキがきかなくなり、壁に激突してようやく車を止めて、なんとか大事故になることを免れました。
知り合いの整備工場で調べてもらったら、ブレーキ関連部品の欠陥が原因でした。
メーカー保証期間は過ぎていましたが、原因が製造責任にあると考え、購入した自動車メーカーB社にクレームとして問い合わせると、B社からは、クレームについての釈明はなく、「保証期間が過ぎているので対応ができない。」との回答しかありませんでした。

仕方なく事故車を処分し別な車を購入したAさんは納得できず、消費者のために、B社のクレーム対応の不誠実さと合わせて、B社の車は欠陥であると、ブログに掲載しました。
すると、B社は、Aさんを名誉毀損で告訴しました。

ではこの場合、法は、B社の言い分を聞いてB社を守るべきでしょうか?
Aさんは、名誉毀損の罪で、処罰を受けなければいけないでしょうか?

B社が、事実を広く知られれば、営業に悪影響を受けるから、この事実を揉み消し、Aさんを黙らせようとして告訴したことは間違いないと言えます。
この場合、B社がすべきことは、Aさんを告訴することではなく、事実関係を調査し、Aさんにその結果を報告した上で謝罪することではなかったと考えます。
そして、B社は、自社の責任を免れ、エゴを通そうと図った、倫理道徳上許し難い反社会的企業であり、社会的責任を果たそうとしないB社の名誉を守るべき理由はないと考えます。

もし仮に、B社の言い分を聞いてAさんを罰するなら、それは、公共の福祉を無視した表現の自由を犯す憲法違反であり、Aさんに対する人権侵害かつ民主主義社会の否定であると考えます。
B社は、真に名誉を守ろうとするなら、事実を潔く認め、謝罪した上で、業務改善と品質向上を図り、信頼回復に努めるべきではないでしょうか。
そして、もちろん、消費者に警鐘を鳴らしたAさんが、処罰を受ける必要はないと考えます。

法はかくの如き不徳義勝手気侭を許すものではない。道徳を守り、不徳義を許さないことが法の最重要な職分である。
総て法はこの趣旨において解釈されなければならない。
(最高裁判示昭和27年2月19日判決民集6巻2号110頁)

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