日向市カトウ裁判の真実第7話「日向市職員による証拠捏造」

無謀かつ非合理的現象

①「沈下変形」メカニズム・変色の怪

「被告の設計図書違反」1総説に参照される宮崎大学瀬崎准教授の鑑定書及び総合開発による変状原因の見解書で共通して擁壁はらみ原因としているのは、「不適切材料である中詰材粘性土が沈下して金網を押し下げ、ポラメッシュブロックに異常な力が加わり、押し出した。」というメカニズムを説明している。

そして、当現象を示す写真として、写真5、6、10、12、13、14、15、17、18を添付している。

ここで二つの疑問が生じる。ひとつは、「沈下」であるが、「沈下」とは上方に存在するものが下方に移動することだから、すなわち、移動した後は、物質が下部に凝縮され上部はそれまであった物質がなくなりスカスカの状態にならなければならない。

ところが、上記写真は全てそうはなっていない。例えば写真5、6、10、13は、上段下段ともスカスカの状態である。まるで中詰材を抜いてスカスカにし、上方から力を加えて金網を押し下げたような形状である。あるいは写真14、15、17、18は、上段のみに粘性土を加えて意図的に下方に力を加えたような形状である。

一方、写真12は、他の写真と様相が異なり、パンパンに粘性土が詰め込まれている。しかも、金網の後部を押し下げるかのように、後部ほど集中的に粘性土が詰め込まれている。ここは、手直し命令書で指摘された擁壁はらみ箇所に該当し、特別の意味があると考えられる。

これはあくまでも推測だが、写真12の集中的に粘性土が詰め込まれたと考えられる後部の上半分と下半分の色合いが異なる。つまり、上半分と下半分の粘性土は違う場所から調達したものではないか。また、写真12の上の写真と下の写真では、色合いが異なり、特に上の写真の上半分はどちらかというと白っぽいが、下の写真では赤く変色している。これは、写真加工ソフトの色置き換え機能を使用して加工したものだと考えられる。

例えば、先日弊社で撮影した現場写真の一枚を、色置き換え機能を使用して加工してみたものが「色置き換え機能写真見本」だが、上が元の色で、下が擁壁の青白くなった部分をピンク色に置き換えたものである。

つまり、写真12の上の写真と下の写真でいうと、上が元の色で、下が白っぽい粘性土部分を黄土色に置き換えたものである。さらに、後部の上半分だけ表面がつるつるした様相を示すのは、圧力を加えて固めたあと、写真撮影用に表面をフラットにするためにパワーショベルのバケット外面で平らにならしたものと考えられる。

よって、「沈下変形」メカニズムの疑問、及び同じ現象が起こった筈の写真12と他の写真との様相の違い、写真12の変色の疑問など、いずれも合理性を欠いており不自然である。

②コンパネ板出土の怪

写真7、8は、それぞれコンパネ板が出土した様子である。両方に共通するのは、水分を含んだ粘性土の中に1年以上埋まっていたにも拘わらず、汚れのない非常に綺麗なコンパネ板だということである。しかも、1年以上粘性土の中に埋まっていたとは信じられないくらい乾いた板である。

位置は、写真7がポラメッシュブロックのすぐ背後、写真8が金網の後部直立面とクロスする位置になるので、つまり、コンパネ板が金網の後部直立面をまたぐように縦に切れ込んでいたか、コンパネ板が金網の後部直立面を押しつぶしていたかどちらかになる。

よって、出土したコンパネ板が異様に品質を維持していた理由、写真8のコンパネ板と金網後部直立面の位置関係、いずれも合理性を欠いており不自然である。

③巨石出土の怪

写真11は、中詰材に巨石が混入しているものである。写真だと、中詰材がおおよそ取り除かれた後、改めて巨石を元あった場所に戻して撮影したのか、それとも、この状態で見つかったのか分からない。仮に、この状態で見つかったとしたら、「沈下変形」どころか、スカスカの状態で中詰材が充填されていなかったことになるので、前者、つまり、中詰材がおおよそ取り除かれた後、改めて巨石を元あった場所に戻して撮影したものだろう。

そうだとしたら、見つかった状態(事実)とは異なる創作写真であり、発掘された遺跡の出土品的扱いの展示目的写真だと言える。

よって、見つかった状態(事実)である根拠はほとんどなく、合理性を欠いており不自然である。

④金網規格寸法・保持シート違反の怪

写真1~4、9、19は、金網寸法が設計図書と違っていて、一部は保持シートが設置されていない(写真4)様子である。

ただ、いずれも、中詰材がおおよそ取り除かれた後ほぼ金網だけの状態になったものを撮影したものである。つまり③同様、見つかった状態(事実)とは異なる創作写真であり、金網だけの状態であればいくらでも加工が可能なことから、証拠としての価値は極めて低い。

よって、見つかった状態(事実)である根拠はほとんどなく、合理性を欠いており不自然である。

⑤連結金具抜けの怪

写真16は、根石ブロックの連結金具が取り付けられていなかった様子である。既に以前準備書面においても指摘したが、仮に取り付けられていないまま放置されたなら、根石ブロック間の隙間にも取り付け穴にも土が詰まる筈であり、見つかった状態は当然詰まっていた筈だ。

ここでも、何故見つかった状態(事実)を撮影しなかったのかという疑問を生じるが、詰まっていた土を綺麗に取り除いて撮影したのだろうか?

よって、これも見つかった状態(事実)である根拠はほとんどなく、合理性を欠いており不自然である。

⑥解体工事手順の怪

2(2)で見た通り、解体工事は2回に分けて、1回目2週間と2回目1週間かかっており、証拠写真1~19は、写真をとることを前提に、そのように想定して解体を進めた上で、撮影したようである。

このことがよく分かるのが、写真1~6、10~15、17~18で、共通するのは、擁壁が最上段から残っている状態の断面写真であることである。つまり、解体工事の効率を考慮するなら、最上段から下方に向って解体していくなら作業はやりやすく、コストも工期も半分程度で済んだだろう。

ところが、それでは、等間隔で複数個所「設計図書違反」を示す証拠写真は残せないので、わざわざ手間ひまかけて、最上段から下方にではなく、横方向に解体していったのである。そしてその過程において、「沈下変形」の証拠写真を確保しつつ、アイデアを出し、多種類の「設計図書違反」を示す証拠写真を作成した。

よって、解体工事の工期に3週間も要し、横方向に解体していった理由は、「設計図書違反」を示す証拠写真を作成するためだった以外に、工期も手順も合理性を欠いており不自然である。

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