第8話「不当判決が再生産される理由」

第6話「不当判決はこうやって作られる」 が少し散文的になって、「肝」が伝えられなかったので、整理します。
理解することは全く難しいことではありませんが、ひとつだけ注意が必要です。
その注意とは、裁判官に対する先入観を捨てることです。
私自身が、ついこの前まで、先入観が邪魔して、誤った認識を持っていました。
誤った認識のままでいると、詐欺被害者がそうであるように、騙される可能性が高い被害者予備軍のひとりになります。
予備軍がひとりでも多く減ることを願っています。

例え話で説明します。
原告の名は「庶民まこと」さん、被告は「金満銀行」です。

先入観1「当事者は平等である」
実際は、当事者は平等ではありません。
金満銀行は、社会的名声があり、多くの従業員がいて、監督官庁である金融庁やその他公的機関のOBの天下りを受け入れているので、裁判に負ければ、その影響は大きい。
なので、裁判所では、まことさんの訴状を受理した時点で、訴えの内容に関係なく、90%まことさん敗訴が決まります。

先入観2「事実に沿って審理される」
実際は、事実に沿って審理されません。
裁判では、刑事においては、絶対的事実、民事においては、相対的事実の2種類の事実が存在します。
この(民事の)場合、まことさんと金満銀行は、それぞれの立場で何が事実かを主張できます。
つまり、ウソでも事実として主張できます。
何を事実として採用するかは、ほぼ裁判官の専権事項であり、裁判官は、自分が書きたい判決に沿って、都合がよいものを事実として採用します。

先入観3「裁判官には専門知識がある」
実際は、裁判官には法律以外の特定分野の専門知識がありません。
したがって、紛争に関係する専門知識は当事者が準備して裁判官に説明しなければなりませんが、本件の場合、まことさんには金融分野の専門知識がないので、裁判官に厳密な判断を求めることが困難であり、その責任も裁判官は負いません。
さらに、裁判官は専門分野に関しては、分かっていても、自分が書きたい判決に沿わないことは分からない振りしてとぼけることができます。
実際早川裁判官は「(防水シートが剥離した場合に)はがれた部分から雨水などが入り込むということはあり得るんでしょうか。」と、すっとぼけた発言で、間接的に相手主張を認めようと企てていた。(第7話「差別パワハラ裁判官」 

先入観4「裁判でウソをついてはいけない」
実際は、裁判でウソをついてはいけないというルールはありません。
いや、つき放題です。
本件の場合、正直者のまことさんにはウソをつけませんが、勝ちさえすればよいという考えの金満銀行は、有利な状況をつくるために、ひたすらウソをつきます。
何を根拠として採用するかは、ほぼ裁判官の専権事項であり、裁判官は、自分が書きたい判決に沿って、都合がよいものを根拠として採用します。

先入観5「尋問では、真実を追究する」
実際は、尋問では、真実が追究されません。
本件の場合、まことさんが真実を追究しようとすると、裁判官が、度々、遮り、抑止し、金満銀行をアシストします。
真実を追究されたくないという点で、裁判官と金満銀行は、完全に利害が一致しているからです。

先入観6「法は厳正に適用される」
実際は、法は厳正に適用されません。
違法行為を適用するための要件はハードルが高く、金満銀行のすれすれの違法行為のほとんどは、違法行為と認定されません。
裁判官のほとんどは、社会的に注目されている事件でない限り、勝たせたい当事者のすれすれの違法行為を見逃します。

先入観7「裁判官はモラルが高い」
実際には、裁判官はモラルも志も高くありません。
裁判官の多くが気にしているのは、組織内の評価や出世であり、公共の福祉や正義の実現のために働いている裁判官は、ごく一部(恐らく10%未満)に過ぎません。
その一方で、世間知らずで謙虚さに欠けますから、無意識に庶民を見下している傾向があります。


先入観の1~7を捨て去った時初めて、われわれは裁判の真実が見えてきます。
これは、簡単なようでいて、実際は、簡単ではありません。
それは、そもそも裁判が日常生活においては縁がない世界であり、直接触れる機会がほとんどないことが大きな理由のひとつです。
また「法の番人」という中学校の教科書に登場する言葉に象徴されるように、年少からずーっと先入観を刷り込まれてきているので、先入観を覆す体験でもしない限り、その先入観に支配されるからです。

しかし、なぜ不当判決は生まれるのかという疑問の原因を追求した時、先入観1~7が間違った認識であることに行き着くのです。
したがって、この状況が変わらない限り(抜本的改革が行われない限り)、不当判決は再生産され続けます。
偶発的ではなく、必然的に不当判決が再生産され、国民を苦しめ続けます。

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