「ごめん」中村修二氏

ご存知の方も少なくないと思いますが、青色発光ダイオードの研究者として有名なカリフォルニア大学教授であり、2014年、ノーベル物理学賞を受賞した、あの中村修二氏です。

中村氏は、青色発光ダイオードの特許権を巡って、元在籍していた日亜化学と裁判で争い、一審で勝訴、控訴審で敗訴し、日本の裁判制度に疑問を抱き、日本社会に愛想をつかしてアメリカに渡りました。
日本を代表する知能は、こうして、アンフェアな日本社会を捨て、自由と平等の国を選んだのです。

この本を読み、私は「わが意を得たり」と思いました。
ここで「ごめん」から、「わが意」のいくつかを引用します。

「そもそも、この日本という国で裁判を起こしたこと。これが、まず大間違いでした。私は日本を甘く見ていた。というより、無意識の内に希望を抱いていたんです。正しいことを正しいと判断し、間違っていることは決然と悪いとする「正義」が、この日本の司法の場にはあると信じていました。ところが、日本の司法には正義に対する信念もなければ、善悪を判断しようという強い意志もなかった。

「旧態依然とした大企業が法律や行政に守られ、悪事を働きながらヌクヌクと暴利をむさぼる。そんな社会が永遠に続くのです。」

「真実を追究して正義の判決を下すようなシステムにしないと正義の判決を期待して訴訟を起こす日本国民を裏切り続けることになるでしょう。」

米国の法廷でウソの証言をすると大変な罪に問われます。また偽証をすれば裁判も即終結し、偽証をした方が負けになります。」

「一方の日本の民事裁判では前述したように、いくら証人を呼んで尋問をしても、偽証罪で刑務所に入ることもないためウソをつくことに抵抗がないようです。また、証拠資料の提出も、相手が拒めばそれですんでしまうので、真実を明らかにすることができず、ウソを暴くことが困難です。」

「やはりそうだったか。」私は、読み終わってそう思いました。日本の司法には期待できないことが確信に変わりました。そして、もしかすると、日本社会にも期待できないのではないかとの疑念を、実は、本気で、感じ始めました。

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