第1章 安倍政権という災い3

一強政治

 2019年10月現在、国会においては、衆議院は465名中283名の61%、参議院は242名113名の47%(前回選挙前までは242名中125名52%)が自民党議員である。この数的勢力の力は絶大で、極端な話、世論を無視して自分達の都合のよい法律を制定したり、政策を決定することを可能にした。

例を挙げると、特定秘密保護法、統合型リゾート実施法いわゆるカジノ法案、裁量労働制の拡大を目指す働き方改革関連法案、入国管理法改正、水道法改正など、国民生活の向上、公共の福祉向上のために役に立つどころか、国民を苦しめることになりかねない法案や政策が少なくない。また、消費税増税もそのひとつである。

2019年に入って、消費税増税前に続々と値上げが発表され、3月から6月にかけて、飲料、アイスクリーム、冷凍食品、乳製品、インスタント麺などが4~8%値上げされた。原因は、円安に伴う輸入原材料コストの上昇、干ばつによる生産量の減少、米中貿易摩擦の影響、人手不足による物流費の高騰などだが、消費税増税を控えて、庶民生活は大打撃を受けることになった。

そして、そのような厳しい経済環境の中で実施された消費税増税は、全ての商品やサービスの値上げに繋がるので、切り詰めた生活をしながら凌いできた庶民生活を直撃することは間違いない。

一言で言うと、これは悪政、暴政であり、犠牲となるのは、負担だけ強いられて逃げ場のない窮地に追い込まれる庶民である。これは当然のことながらわれわれ国民が、庶民が望んでいる政治の姿ではない。アベノミクスの正体とは、金持ちに優しく、庶民に冷たい政策で、格差社会を決定的にする悪政である。政治の目的を表す中国の言葉「経世済民」とは、「世を治め民を救う」という意味だが、アベノミクスは全く違う結果を目指し、実際もたらした。

一方で、日本社会は、確実に腐敗と不正が拡大し、社会不安が膨らんでいる。イジメ、虐待、パワハラ、セクハラが日常化し、詐欺事件や凶悪殺人事件が頻発している。こうした傾向は、小泉政権時代から目立つようになったが、安倍政権で決定的となり、既に危険水域に入っているのではないだろうか。

それから、安倍政権のもうひとつ忘れてはいけない特徴は、一強政治である。安倍政権は、自民党の中で圧倒的多数勢力を背景に、安倍友を要職に据え、官邸の権力を強大にし、モリカケ問題を初め、国内で好き勝手に振舞い、トランプの言うことを聞いてアメリカを味方につけた。しかし、逆に、対中国、韓国、北朝鮮、ロシアでは、何も成果を上げられず、関係改善どころか、逆に明らかに悪化させて、外交実績は赤点レベルである。

結局のところ、安倍一強政治は百害あって一利なしである。言い換えると、安倍一強政治とは、弱者に冷たい独裁であり、安倍一強政治では、国民の幸福、国の発展や健全な転換、さらに本来の民主主義は実現されないことが、間違いなく実証された。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク