モナコ観光不正融資事件の真相!第2話「損害賠償請求の原因」

以下は11月24日付「訴状」の一部です。

被告らによる不良貸付

被告元組合長A及びBは、モナコ観光(以下モ社)と当初合意した条件であった国道10号線拡幅工事に伴う土地収用補償金による2億円の繰上げ償還を平成16年にすべきところ、モ社社長の意向に沿って便宜を図り、大幅な担保不足を承知しながら、平成16年7月2日2420万円の一部繰上げ償還に止めた。

またその後の平成19年11月15日、既に経営的に危険水域に入っていたモ社の資金繰りを支援するために、再び大幅な担保不足を承知しながら、2回目となる7200万円の追加融資に応じた上、既存の貸付償還期間を5年延長する条件変更処理を決定した。
さらに、平成20年11月申込時点で、2回約440万円の返済延滞が生じており、かつ同月28日2000万円の手形決済資金の確保ができていない段階で、12月10日にモ社子会社である株式会社ひょっとこ苑への設備投資資金7200万円の3回目となる融資を決定した。
当該2、3回目の追加融資は、モ社経営破綻の発覚を恐れ、モ社の延命を図ることによって自己の地位と信用を守る目的の、明らかに回収困難が予想される不良貸付であった。

その後、3回目の融資からわずか140日後の平成21年4月30日にモ社手形が1回目の不渡りとなり、実質的に経営破綻した後、6月4日、日本政策金融公庫に対する代位弁済6742万円が、被告元組合長A及びBが中心となって誘導し、決定された。
代位弁済の目的としては、本体であるモ社と切り離すことでひょっとこ苑の事業継続を図り、融資金を全額回収することにあったが、事業継続の見通しに具体性や客観的根拠が全くなく、結果としていたずらに損失を拡大させた。

被告らによる任務違背行為

被告元組合長A及びBは、本件当時,日向農協の常勤理事もしくは監事として同組合の融資業務もしくは業務管理を統括していたものであり,融資の決定及び実行に当たっては,農協法等の法令を遵守し,かつ,同組合の諸規定に従って正規の融資手続を踏んだ上,顧客の信用状態等について調査を尽くし,十分な担保を徴求するなどして融資金の確実な回収を期し,回収困難な債権を生ぜしめるなど同組合に対し損害を与えることのないようにすべき任務を負っていたものと言わなければならない。

また、貸付先の業績悪化に伴い貸付金の回収が困難となる状況下においては,貸付事務担当役職員は,貸増しを停止し,既存の貸付金の回収を図ることを基本的任務とし,追加融資がやむをえない場合においても,それを必要最小限度に絞り,かつ確実十分な担保の徴求等,債権確保のために万全の措置を講ずべき任務がある。

ところが、被告元組合長A及びBは、当初融資について大幅な担保不足であることを承知しながら、平成16年モ社社長の2億円繰上げ償還回避要求に応じたのみならず、モ社の経営が苦境に陥り既存の貸付金の回収が危ぶまれるに至った後も,モ社の延命・存続のため次々と追加融資を実行し,傷口を広げ,モ社が破局を迎えたときには日向農協に巨額の不良債権のみが残っていた事態を招いた。
したがって、被告らによる当該行為が、貸付事務担当役職員として通常の業務執行の範囲(業務執行の通常性)を逸脱していたことは明らかであり、任務違背行為を否定することはできない。

原告の日向農協代表監事らに対する提訴請求等

原告は、平成3年1月以降日向農協準組合員であり、自ら経営する会社が事業資金を日向農協から借り入れた際、大変厳しい審査を経て融資を受け、かつ多大な苦労をして完済した経験から、本件不良貸付に伴う損失の責任に対する公明正大な処理、及び日向農協全組合員と全職員の権利回復を望むものである。
以上の理由により、平成29年10月27日付書簡にて被告らに対する損害賠償請求を提起するよう代表監事らに求めたところ、平成29年11月17日付回答書により却下された。
そこで、原告は、日向農協全組合員と全職員のために、自らが代表となり、本件訴訟を提起することとした。

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