モナコ観光不正融資事件の真相!第8話「判決前報告その1福良公一氏尋問」

判決前報告をする理由

当初、判決が出るまで公表を控えようと考えていたが、ある方から電話があり、「是非早く内容を知りたい。周囲にもそういう希望者がたくさんいる。」と言われて公表することにした。

また、本件は、損害賠償訴訟ではあっても、個人間の争いではなく、組合員対役員という極めて公共性が高く、社会的意義において価値がある訴訟である。
したがって、多くの人が関心を寄せ、真実を知ることは、それ自体が貴重であるから、公表が遅いより早い方が公益にも資すると判断した。

さて、結論を先に言うと、事実はほぼ解明した。そして、解明した事実に照らすと、われわれ組合員(原告)の勝訴は 間違いないと考えている。
今私が問題としているのは、勝訴の程度=損害賠償請求を損失額の何%認められるかである。

法的根拠

裁判だから、勝訴するためには法的根拠がなければいけない。
法的根拠は以下の通りである。

農業協同組合法第35条の6
役員(理事及び監事)は、その任務を怠つたときは、組合に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

金融庁監督局及び農林水産省経営局「系統金融機関向けの総合的な監督指針」
「理事会は、事業推進部門と審査管理部門の分離等適切な与信管理・審査管理体制を整備しているか。」
「理事会等は、合理的な基準に基づき経営に対して大きな影響を及ぼす可能性のある大口与信先を抽出し、その信用状況や財務状況について、継続的なモニタリングを行うこととしているか。」
「理事会等は、大口与信先の取組みについて、厳格な自己査定の実施や事業再生に当たっての十分な検討・指示を行っているか。」

「監事及び監事会は、独立の機関として理事の職務執行を監査することにより、組合の健全で持続的な成長を確保することが基本責務であることを認識し、付与された広範な権限を適切に行使し、会計監査に加え業務監査を的確に実施し必要な措置を適時に講じているか。」
「常勤監事の設置が義務付けられている組合にあっては、組合内の経営管理態勢及びその運用状況を日常的に監視・検証しているか。」
「監事は、理事が内部管理態勢(いわゆる内部統制システム)の構築のための義務を適切に果たしているかを監査する職務を担っており、この職務を果たすことが、自身の善管注意義務及び忠実義務の内容を構成することを理解し、その義務を適切に果たそうとしているか。」

上記に照らした時、私が訴えた2名(川村嘉彦氏、福良公一氏)は、明らかに「任務を怠つたとき」に該当することは明らかである。

さて、では本論に入るが、その前に、これから記述する本論は全体的な経緯を分かっていないと理解できないので、私が裁判用に作成した「整理表」をここで公開する。

第1 被告福良公一氏尋問要約

1 平成15年10月8日「条件変更申請書(乙4)」について

(1)原告代理人西田弁護士の質問に対して、「「条件変更申請書(乙4)」の決裁によって、2億円の繰上償還を求めないことが執行部内で決まった」と述べている。したがって、「2億円の繰上償還については、参事に就任した平成16年2月以降議論していない」とも述べている。また、平成16年当時、モナコ観光の財政状況の確認をしたことはあるかという質問に対して、「ないです」と答えている。

(2)私が、「条件変更申請書(乙4)」によって何が決済されたのか質問すると、「結果として2億円の返済、いわゆる残担保でいいという解釈になった」と述べている。

また、5000万円以上の融資本店審査会出席者を質問すると、「組合長、副組合長、常務、そして担当部長、担当の課長、説明者としてのそれぞれの補佐係長クラス」と答えている。

(3)「モナコ観光への融資について(甲3)」を示し、「本店として原則決裁」の意味を質問すると、「恐らく(パターン)1,2,3ありましたから、それでいいよと。ただ後で協議しましょうという話もあったかもしれませんね。」と答えている。また、担保不足はおおむね解消できているという文言の意味を質問すると「支店の関係者が判断したという意味で書いてございます。」また、いつの時点で解消できていると認識がされたと考えているのか質問すると「15年の9月以降だと思いますが。厳密に言いますと、平成16年の4月の理事会までの間だと思います。」と答えている。

(4)平成16年3月2日及び4月6日の理事会における宮内金融部長と川村理事の6月一括償還答弁の意味が、条件変更がされていないという認識を前提としたものではないかと質問すると、「ちょっと分かりません。この人たちの言っている意味もちょっと分かりませんので。」と答えている。

また、2億円の繰上償還の問題をいつ把握したのかを質問すると、「(平成16年)3月の理事会の以降で、こういうのがあったんだなというようなことを初めて知りました。」「理事会の後です。」「はい。終わって、どういう内容なのかということで聞きました。」と答えている。

2 平成19年11月15日7200万円追加融資について

(1)融資直前のモナコ観光の決算状況、財務状況について、どのように記憶しているかという西田弁護士の質問に対して、「記憶はございません。」と答えている。

(2)「議案第5号(乙7号証)」を示し、4億4383万という処分可能見込額が適正だと判断したのか質問すると、「はい、そうですね。その意味はですね、(中略)職員から聞いております。理事会でぽんと出てきた。その段階で、担当部署に担保評価はという話を聞きましたら、(中略)聞いておりますので、そういう意味で、厳密にされてますという回答を私はしていると認識しております。」と答えている。

また、「平成16年6月の担保評価要領(乙32)」導入後も、先順位額を根抵当権設定額ではなく債務残高になっていることをなぜ指摘しなかったのか質問すると、「ぽんと出てきたものが個別にうんぬんという判断は、ちょっと私にはできませんでした。」と答えている。

3 平成20年11月28日2000万円追加融資及び12月10日7200万円ひょっとこ苑融資について

(1)2000万円追加融資は否決され、その代わりに、ひょっとこ苑に7200万を貸したと理解しているのかと質問され、「そうですね。」と答え、否決された2000万円は、実際はモナコ観光に入金されたのではないかと質問され、「そういう事務的な記憶はございません。」「ただ2000万を融資したという記憶は伝聞的に聞いておりますけど、どちらに流れたのかということは、頭にはございません。」と答え、さらに、モナコ観光に流れた可能性について質問され、「私は、一体だろうというふうにして認識しております。」と答えている。

(2)「議事録要約(甲A15の4)」を示し、7200万円の追加融資に関して、反対の意思はなかった、すなわち認めるつもりだったのか質問すると、「理事会でも反対、賛成も、もちろん言ってございません。」と答えている。

(3)実行された7200万円の追加融資の使途を調査したかどうか質問すると、「そこは、ちょっと私は記憶がございません。それぞれ一応、部門ごとは分けてますので、監事の事業ごとの監査の担当はですね。(中略)そういった中身まで追ったという記憶がございません。」と答えている。

(4)モナコ観光向け2000万円追加融資の事実を把握していたのか質問すると、「これはですね、実行されたかどうかというのは、具体的に私は把握してません。」と答えている。

4 検討会について

(1)福良さんが、参事に着任された以降は、検討会はされていましたかという質問に対して、「ええ。四半期毎にはやっていた」と答えている。また、監事として出席していたかを質問すると、ちょっとそこは全く出席してない話じゃないかなと思うんですが、ちょっと記憶にございませんけれども。」と答えている。再度、常勤監事時代(平成19年4月~25年4月)に出席していたかを質問すると、「基本的には出席はしてたと思います」「出てたような記憶があります。」と答えている。

(2)参事であられた平成16年2月以降の検討会の時点で、担保は足りていたという認識ですか?という質問に対して、「そのくらい(2000万程度)は最終的に不足しているというふうにして認識はあります。」「同じ時点で、当時の監事会としては、担保は足りていますという評価はあったというふうにして認識をしております。」と答えている。

(3)美々津支店作成の「モナコ観光貸付金の繰上償還パターン(乙18の2)」を示し、1億7983万円繰上償還しなければ担保不足であることを指摘すると、「平成16年の6月辺りの担保評価の話でしか、頭はございません。」「個別のそれぞれの1,2,3のパターンというのは、私は論議する必要もないし、頭にはございません。」と答えている。

(4)「担保物件明細表(甲14)」を示し、先順位額を、抵当権設定額ではなく債務残高で計算した理由を質問すると「私には、理由はございません。担当部署から出てきてるもの、それをそのまま参考にしていますので、個別に私の方で債務額ごとに見るということはしてございません。」また、これでよしというふうに承認したのか質問すると「そうですね」さらに、参事としてチエックしていなかったのかを質問すると「そうです」と答えている。

5 被告福良代理人弁護士質疑の内容

監事としての仕事内容を質問されて、「理事全般の監理監督が私達の仕事だと思います。(中略)理事会あるいは理事の業務が適正に執行されているかどうかの意見を述べることだと思うんですが、それとそれに関連して、監事の監査をやるということでございます。」と答えている。また、監事の仕事における業務のチエックの割合を質問されて、「時間帯からすると、全般的な業務監査のほうが大きいかもしれないと思う。」と答えている。

6 吉野裁判官質疑の内容

平成19年に採用された「担保評価要領」の認識を質問されて、「あんまり認識しておりません。」と答えている。

7 原告代理人西田弁護士質疑の内容

(1)平成20年7200万円ひょっとこ苑融資について、モナコ観光に対する貸付である認識について質問されて、「基本的にはやはり、ひょっとこ苑の関連の融資だという認識はしております。」と答えている。

(2)平成20年11月28日にモナコ観光に2000万円追加融資されたことについて、検査をしなかったのか質問されて、「私は、融資貯金ではございません。ですから個別にそういった明細なりは、見てございません。」「融資ですので、私はノータッチでございます。」と答えている。

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