日向市カトウ裁判の真実第9話「日向市による設計ミス」

日向市が想定していなかった展開その1
本件の争点は何といっても「擁壁のはらみの原因は何か?」である。
日向市が主張するように施工不良なのか、それとも、カトウが主張する設計ミスか?
そして、争点の決着は100%ついている。

その根拠は、第5話で紹介したように、カトウ施工の設計では水抜きパイプがなく、やり直し工事の設計では水抜きパイプが7ヶ所以上あることを初め、計6点も設計仕様が変更(改善)されていることから、設計ミスは実証されている。

さらに、もう一つの根拠は、提訴から1年半後の平成28年8月以降、カトウ側の技術アドバイザー大川雄一氏によって、日向市の設計ミスが、論理的に完璧に立証されたからである。
実証された上、論理的にも立証されたのでは、もう日向市に反論の余地はない。

それでは大川雄一氏の「技術意見書」から、抜粋したものを紹介する。

「鑑定書」について
原告(カトウ)は、粘性土を使用しているから設計図書違反であるという被告(日向市)の主張は根拠に欠ける。
総論的には、本鑑定結果の内容は適切さに欠ける。
ポラメッシュ擁壁も適切な排水対策を行う必要があり、設計基準に適合する設計ではないといえる。
メーカーの「この程度であればポラメッシュ擁壁の標準構造で排水可能と判断しているようであるが、間違いである。
「大量の地下水ないし湧き水を考慮した結果は皆無である」「湧き水対策は講じない設計で発注している」(日向市)と堂々と主張しているが、驚きをもって裁判記録を読ませていただいた。
「道路土工、擁壁工指針」の意味をまったく汲み取っていない。
このような認識での設計であれば、当然に排水対策は設計に織り込まれないし、施工される構造物は、降雨時に排水対策がないゆえに、当然のごとく破壊や変形を起こす。
補修(やり直し)工事には排水対策が講じられているので、講じられていなかった本件工事との比較は技術的に説得性を有しない。
補修(やり直し)工事の設計がカトウ受注の設計図書と同じであれば、補修(やり直し)工事の設計もまた既に適正でない可能性が高い。
設計が適正でなくとも水抜き孔を設置したり砕石適用の範囲を拡大する等の設計変更を行っているならば、排水対策が実質的に実施された状態になっている。

設計計算書が提出されていない。
このような設計は、補強土壁の特性をまったく理解していない設計基準にも劣る設計であり、安全性が保証されない不適正な設計である。

重大な設計ミス
1.空積み構造を用いている。
2.重力式擁壁が適用される擁壁の高さを超えている。(違法)
3.施行令第142条5の安全性を有していない。
4.施行令第142条3の水抜き穴を設置していない。
5.擁壁設置上の留意事項を遵守していない。
6.重力式擁壁の根入れ規程を遵守していない。

設計は極めて不適切であり、設計に過ちのある構造物が変形するのは当然である。

構造計算を含め、市の主張は基本的に間違いであり、矛盾に満ちている。
設計計算はミスが多く、擁壁の安定条件を満たしていない。
最終的に9.81%以上の変形を生じさせる。

したがって、最大の争点での決着は既についている。
言い換えれば、施工不良という日向市の主張の前提となる設計が不適正であるので、正当性は完全に失われた。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク