第5話「不当判決はこうやって作られた」

「不当判決シリーズその1」では、不当判決自体の分析をしたが、ここでは、ではその不当判決がどうやって作られたのかを検証する。

出来事を検証する時に大事なのは、例外なくファクト(事実)である。
裁判経過は以下の通り。

平成29年6月29日  原告提訴(証拠提出17)
平成29年7月31日  被告答弁書
平成29年8月4日   第1回口頭弁論
平成29年9月13日  原告準備書面第1
平成29年10月19日 被告準備書面第1
平成29年10月26日 第2回口頭弁論
平成29年11月13日 原告準備書面第2(証拠提出4)
平成29年12月18日 被告準備書面第2
平成29年12月22日 第3回口頭弁論
平成30年1月25日  原告準備書面第3
平成30年1月31日  被告陳述書(証拠提出1)
平成30年3月1日   尋問
平成30年4月13日  判決

ご覧の通り、私(原告)は、証拠を21種類提出し、立証も十分実施した。
対して被告は、証拠は陳述書のみで、不法行為の否認以上の反論はなかった。
したがって私(原告)の認識は、尋問で事実確認すれば概ね請求は認められると考えた。

しかし、宮島文邦裁判官の意図はそもそもまったく違っていたようだ。
今改めて尋問調書を読み直すと、宮島裁判官の意図が明らかに読み取れる。

われわれ一般人は、裁判を経験するまで、裁判官はサッカーのレフリーと同様に完全な中立だと思い込んでいる。
サッカーでは、試合の勝負を決するのはあくまで両チームのプレイであり、レフリーは、ルールに従って試合の運営を司る役割を担う。
しかし、本件裁判においては、宮島裁判官が、自分が書く判決に導くために、尋問時点で頭から被告有利の誘導尋問をしている。
このことは、尋問調書と判決文を対比させると明確に判る。
では、該当する尋問調書部分を紹介する。

1「4800万円の融資の際の生命共済への加入の件ですけども(中略)追加の担保の趣旨で加入してもらったと、こういうことで間違いないですか。」

と、このように初めから「生命共済勧誘は追加担保の趣旨」という被告主張を認めつつ、確認の質問をしている。
そして、判決14ページ23行目では、「火災保険金又は火災共済金への質権設定に代わる事実上の担保として、終身共済への加入を求めること自体は、何ら不自然ではないし、不合理ともいえない。」として、宮島裁判官自ら、被告の終身共済への勧誘行為を正当化している。

ここには争点がふたつあり、ひとつは、追加担保の必要があったかどうか、もうひとつが、生命共済加入が火災保険の質権設定の代わりになるかである。

まず追加担保の必要について、本件4800万円の融資は、担保として土地建物時価9150万円を差し入れ、根抵当権6000万円(時価の約65%)の設定だった。
したがって、担保は十分であり、そもそも追加担保の必要はなかった。
また、火災共済金は、火災や台風等の自然災害による建物の滅失や損傷に対して支払われるものであり、一方、生命共済金は、被共済者の死亡に対して指定受取人に対して支払われるものであるから、そもそも代替にはならない。

したがって、生命共済加入は、「担保不足を補う」ためでも、火災共済の代替でもない。
すなわち、通常の審査を経て融資が許可された後、被告が、自らの営業成績目的で「融資条件だ」と偽り、私を錯誤させて加入を強いたことは明らかである。

2「逆にね、この生命共済の加入がないと、融資は下りなかったんですか。」
「実際、加入したのもこの融資後ですよね。」

ここは、宮島裁判官の意図としては、「融資条件だ」と偽り、私を錯誤させて加入を強いたのではなく、生命共済加入は融資条件ではなかったという結論に導いて私の主張を否定するつもりだったようだが、私の被告への質問で、被告自身が「融資条件だ」と偽ったことを認めたので、判決15ページ6~9行でもそうなっている。
しかしながら、独禁法違反という認定を避けているのは明らかに作為的である。

3「保証人となっている件の主債務者のほうの債務不履行があると、(中略)追加融資というのは下りなかったんですか。」「そういう理解でいいですか。」

と、このように初めから「債務を保証人である私に付け替えた上での追加融資は、融資するために避けられなかった」という被告主張を認めつつ、確認の質問をしている。
そして、判決16ページ24行目では、「平成16年の融資の際に、(中略)被告の提案は、合理的な内容であり、違法とすべき点はない。」
さらに、17ページ10行目「本件連帯保証の履行について日向農協から催告を受けていた原告が、当該保証債務について債務不履行状態にあったことは明らかであり、原告の主張は採用できない。」としている。

違法とすべきかどうかについては、独占禁止法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用)ハ「取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。」に照らせば、追加融資を受けられない場合運転資金に窮する幣社の弱みにつけいり、代位弁済を実質強制する行為は、当然違法とすべきである。
もし、「違法とすべき点はない」のなら、独禁法は有名無実ではないか?
また、「そういう理解でいいですか。」と被告に誘導的な質問をして答えさせ、何ら証拠もないまま「原告が、当該保証債務について債務不履行状態にあったことは明らか」とは、有罪にするために、それに沿った証言を引き出して立件する冤罪でっち上げ手段と同じである。

4「保証人への請求が(中略)それを心配したということですか。」「なるほど、分かりました。」

と、このように「代位弁済の強制」という違法性を免れるための被告有利の質問を、宮島裁判官自らわざわざ考案してアシストする念の入れようである。

5「奥さんの追加保証とか、あるいは実家のほうの担保提供を融資の直前になって伝えたということですけども、(中略)これもできればというところで、条件ではないんですか。」

と、このように、追加で担保提供を強要された時に、私が拒否をして融資を辞退した結果、日向農協が追加担保を諦めたことを、条件の強要ではなかったと被告有利な認識を前提とした質問をしている。
そして判決では「てなわん(仕方がない)じゃないか、(融資の)条件ぞ!」と凄んだ脅迫行為自体に触れていない。

以上のように、尋問における宮島裁判官は、およそサッカーのレフリーとは程遠い、明らかにアンフェアな、かつ意図的な質疑をした。
また、質疑の内容とは、予定している判決を前提とした誘導的な内容と言わねばならない。

サッカーで言えば、私の攻撃による得点をオフサイド判定によって帳消しにし、被告の攻撃にPKを与えて得点させるようなレフリーということになる。

もちろん、実際にはそんな卑怯なサッカーの試合は世界中どこにもない。
しかし、日本の裁判では、こうして日常的に存在する。
私も含め、当事者(原告被告)は、真実に基づいたフェアな判決を期待するが、絶望の裁判官達は、そんなことは意に介さない。
真実に基づいたフェアな判決を書けば、上に睨まれ出世に響くから、上が気に入る判決を書こうとして、せっせと、あったことをなかったことにし、なかったことをあったことにし、テクニックを駆使する。

今改めて確認すると、私が訴状と3回の準備書面で立証した内容は、判決ではかなり無視されている。
調査と分析を積み重ね、文案を作り、何度も何度も書き直して作成しても、無視されたらまったくの徒労だ。
それどころか、 ファクト(事実)自体を無視されたり、捻じ曲げられたら、主張の根拠自体が消えてなくなる。
つまり、それによって、何もかも失い、全ての努力が無価値になるということだ。
実際、不当判決による生活破壊、人生破壊の威力は凄まじい。
私が尊敬して止まない中坊公平弁護士は、「被害者は2度殺される。1度目は事件で、2度目は事実を認めない第三者機関で。」と言っていたが、私も今回2度殺された。

絶望の裁判官達は、当事者(原告被告)が犠牲となり、国民が不幸となり、国の秩序が乱れ荒廃しても、自分の出世のためならお構いなしだ。
良心なんてものは、とうの昔に失っている。
と言うより、良心があったら不当判決は書けない。
真に絶望的。

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