日向農協スタンド跡地汚染第3話「これでは、土壌汚染対策が完了したことにはならない」

6月4日、開示請求から調度1ヶ月して、ようやく日向市が情報開示してくれるというので、初めて新市庁舎を訪れた。

指定された2階の市民情報室に直行して、要件を済ませてすぐ帰ったので、新市庁舎はあまり眺めなかった。
「贅沢」「単なる高級建築」「建築家の自己満足」「20世紀的哀しき発想力」「建築物というハードの存在感が市民という人より優越していることが伝わってくる何とも不愉快な空間」だなーと感じた。

延岡市役所の高級ホテル仕様もいただけないが、日向市役所の博物館仕様は田舎に突如現れた年寄好みの神社仏閣のようで、市民を威圧する点は共通している。

さて、開示された書類は
1.平成29年3月27日「水質検査結果報告書」
2.平成29年4月1日「切島1区民回覧」
3.平成29年9月「土壌汚染調査業務委託報告書」
4.平成30年2~4月「作業環境測定結果表」
5.平成30年5月「土壌・地下水ベンゼン汚染拡散防止対策報告書」
6.平成30年5月10日「ベンゼン土壌汚染対策工事の工事終了後の確認結果の報告について」
の6種類計29枚。

この内の3枚を紹介する。
まず、調査ポイント図
ご覧のように、敷地をA~G、1~3で等間隔に区切り、地中にあったガソリンの配管の位置14ヶ所を選定して調査したことを表している。
因みに、14ヶ所とは、私が撮影した写真の白いパイプが埋まった地点付近のようだ。

次がベンゼンが検出された調査データ
E-1の地下1.5m 0.3mg/ℓ
E-2の地下1.7m 0.14mg/ℓ
E-2の地下2.0m 0.032mg/ℓ
2ヶ所で、指定基準値0.01mg/ℓ以下を上回っている。

最後が、日向市が日向農協に出した協議の案内
文面には「ベンゼンによる土壌汚染対策工事の終了を確認させていただいた」「今後の対応等について協議させていただきたい」とある。


これで本当に土壌汚染対策が完了したことになるのか?

1.1615㎡(約500坪)の広さの土地に14ヶ所しか調査していない。
少なくとも、疑いがある地点の周囲はもっと集中的に調査すべきではなかったか。

2.ベンゼンが基準値を上回った地点は2ヶ所、検出された地点は6ヶ所あるが、実際はその6ヶ所の近辺(半径1m範囲)を調査していないので、これでは土壌汚染の広がりが分からない。

3.対策工事も、その調査ポイントと同じ地点に中和剤を注入したと説明を受けたが、検出された同じ地点に中和剤を注入し、その後、同じ地点でデータを取れば改善しているのは当たり前であって、これでは、敷地全体の対策が終了したことにはならない。
つまり、業者の「濃度計量証明書」は、あくまで中和剤を注入した地点のベンゼン濃度が下がったことを証明しているだけであって、「敷地全体の土壌汚染がなくなった証明」ではない。

4.日向市が土壌汚染の事実を把握したのが、平成29年2月7日、その後、正式な調査を実施したのが4ヵ月後の6月7日~7月11日。
さらに、日向農協が対策工事をしたのが、7ヵ月後の平成30年2月~4月。
県の環境管理課と相談しながら進めたと説明を受けたが、相談や準備に、なぜ11ヶ月もかかるのか?

5.最後に、「それで不特定多数の地域住民に看板、インターネット等で、管理者として日向市が情報開示しないのか?」と、市街地整備課の横山氏に尋ねると、「日向市はしない。する義務はない。情報を知りたい住民がいれば、情報開示請求をしてもらえばよい。知りたいという市民の声は聞こえていない。知りたい市民がいるようだという話は、日向農協にできる。」という回答だった。
聞いている内に、私は「防衛省か財務省の役人と話をしているのではないか。」と錯覚した。

つまり、市の考えでは、市民は、多額の調査費用と時間を、さらに職員の高給も含めて莫大なお金を負担する一方で、生活圏内にある敷地の有害物質による土壌汚染に関わる情報について、管理責任がある市からは何も知らされずに、不安や疑念を感じつつ暮らせ、ということになります。

そして、土壌汚染の発生責任は日向農協にある訳だから、日向市は、市民に対して負担を押し付けても、平穏に暮らす権利を侵害しても、説明責任は負わない、ということになります。

ところで、日向農協はだんまりを決め込んでいるが、5月16日に日向市と何を相談したのか?
ホームページには、経営理念として、「私達は真心をもって行動し、人と地域のベストパートナーであり続けます。」と掲げているが、ベストパートナーとは、土壌汚染の事実を隠して、組織の利益を優先する悪意をもって行動し、人と地域の信頼を裏切る輩のことだろうか?

あーそうそう、日向市と日向農協職員は、日本大学に危機管理学部という先進的な教育コースがあるから、こぞって短期集中講座を受講することをお勧めする。
そして、「土壌汚染の事実を隠蔽しろという指示はしておりません。」というコメントの仕方を学んでくるとよいだろう。

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